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 ブレークスルーのきっかけをもたらしたのが、もう一人の若手研究者、兼賀量一だった。「姫田さんから『兼賀くん、CO2から低温でメタノールができたら何か賞をもらえるよ』と言われ、とにかく前向きに実験を進めてみようと思って取り組みました」と兼賀は当時を振り返る。  「ダメ元でいいから、いろいろ試してみよう」──そう考えた兼賀は、通常液相で反応させる分子触媒を固体のまま、溶媒を用いることなく水素とCO2の混合ガス中(ガス相)で反応させた。最初はさまざまな金属中心が一つある単核触媒を用いていたが、メタノールどころかギ酸すら検出できなかった。常識的には、水素分子の結合を切断するためには、高温条件が必要であり、何ら生成物が検出できない結果は当然であった。しかし、その結果を聞いていた尾西が、既に合成していた複核触媒を試すことを軽い気持ちで提案した。 メタノール合成に使用した複核触媒  驚いたことに、複核触媒を用いるとメタノールが検出された。これがブレークスルーのきっかけとなった。「メタノールが検出されたときはすごくうれしかったですね」と兼賀は目を細める。しかし、この報告を聞いた姫田は、常識外の低温条件のガス相での反応であったため、とくに慎重に研究を進めさせた。実験操作で混入したメタノールではなく、反応で生成されたメタノールであることを確認するために、尾西にも確認実験させただけではなく、自らも実験を行って複数人で確かめたほどだった。結果的に、CO2と水素からメタノールが生成している確証が得られたが、生成量はわずかであった。 当初の実験結果と論文発表時の実験結果 ガス相ではギ酸の生成が抑えられ、メタノールが生成していることがわかる。  研究チームはその後も触媒構造や反応条件の検討を重ね、ついに30 ℃の穏やかな温度条件、あるいは0.5 MPaという比較的低圧の条件下で、CO2からメタノールを合成することに成功した。従来の銅系固体触媒と異なり、メタン、一酸化炭素などの副産物は生成しない。さらに、分子触媒を固体状態のままガスと反応させるため、生成した気体状態のメタノールと固体の触媒の分離が容易になった。また、従来の銅系固体触媒のガス相反応と比べて分子触媒は効率よく反応が進行した。特に分子触媒は金属を取り囲む有機分子(配位子)を精緻に設計・制御できるため、今後新たな展開が期待できるのも強みだ。  姫田は「この成果は、2人の若手研究員のアイデアとチャレンジ精神のたまもの。『複核触媒を使う』と『ガス相で反応させる』という二つのアイデアがそろわなければ、CO2からのメタノール合成の障害要因を取り除くことはできなかった」と兼賀と尾西らに賛辞を送る。一方で兼賀は、「姫田さんをはじめとする先輩研究者たちが整えてきた土壌があったからこそ」と感謝の気持ちを表す。経験値と柔軟な発想力、チームの力が一つとなって大きな成果を生み出したのだ。  一定の成果は達成したが、これらはすべて実験室内での出来事である。この研究成果を実用化するにはまだまだ長い道のりが残されている。姫田によれば、反応機構の詳細な解明をさらに進めることで触媒の基本性能である「活性」「選択性」「耐久性」を高め、さらに低コスト化を図る必要があるという。「私たちが今回編み出した手法をそのまま化学プラントに適用したとしても、明日からいきなりメタノールの大量生産が可能になるわけではないのです」と姫田は言う。  とはいえ、研究チームがCO2の水素化により、メタノール合成を低温・低圧下で実現するための基盤を確立したことは間違いない。「十数年後をめどに技術を実用化し、カーボンリサイクルに貢献できればうれしい」と姫田は目を輝かせる。  本成果に大きく貢献した兼賀は、さらにはるか先の未来にも思いをはせる。「人類が本格的に宇宙に進出するとき、移住先天体の候補として挙がるのが月と火星。特に火星は、大気のほとんどをCO2が占めています。この技術が、いつか火星で活躍する日が来るかもしれません。かなり先の話ですが、そんな未来に貢献できるよう、引き続き頑張ります」と、兼賀は冗談っぽく夢を語った。 エネルギー・環境領域 ゼロエミッション国際共同研究センター 首席研究員 姫田 雄一郎 Himeda Yuichiro エネルギー・環境領域 省エネルギー研究部門 エネルギー貯蔵システムグループ 研究員 兼賀 量一 Kanega Ryoichi --> 産総研 エネルギー・環境領域 ゼロエミッション国際共同研究センター 〒135-0064 東京都江東区青海 2-3-26 gzr-info-ml*aist.go.jp (*を@に変更して送信してください) https://www.gzr.aist.go.jp/ 産総研 エネルギー・環境領域 省エネルギー研究部門 〒305-8564 茨城県つくば市並木1-2-1 つくば東 ieco-info-ml*aist.go.jp (*を@に変更して送信してください) https://unit.aist.go.jp/ieco/ 関連記事 CCS/CCUSとは? 二酸化炭素の分離・回収・貯留・利用技術 ギ酸で拓く水素の新たなマーケット 高圧水素の供給で水素ステーションの省エネ化も可能 吉野彰が語る「ゼロエミッション」とは?Vol.1 大気中の二酸化炭素から資源を生み出す チーム一丸となって取り組むCO2有効利用技術の革新 この記事へのリアクション もっと詳しく   初めて知った   興味がある   この記事をシェア 掲載記事・産総研との連携・紹介技術・研究成果などにご興味をお持ちの方へ 産総研マガジンでご紹介している事例や成果、トピックスは、産総研で行われている研究や連携成果の一部です。 掲載記事に関するお問い合わせのほか、産総研の研究内容・技術サポート・連携・コラボレーションなどに興味をお持ちの方は、 お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。 産総研マガジンに関するお問い合わせはこちら 編集部が選んだおすすめ記事 話題の〇〇を解説 量子コンピュータとは?   話題の〇〇を解説 CASEとは? 自動車業界から変わる未来のモビリティ 話題の〇〇を解説 吉野彰が語る「ゼロエミッション」とは?とは?   量子物理×深層学習でAIがおおきく進化 学習対象外の領域でも高精度に予測 LED照明にも標準光源をつくろう! 日亜化学と産総研がタッグを組んで「全方向形標準LED」を開発 第31回 迫る南海トラフ地震!「予知」のカギを握る「地盤と水」の意外な関係 地球の鼓動を探る「断層の物理学」入門 --> 産総研について アクセス 調達情報 研究成果検索 採用情報 報道・マスコミの方へ メディアライブラリー お問い合わせ English ニュース お知らせ一覧 研究成果一覧 イベント一覧 受賞一覧 研究者の方へ はじめての方へ 研究成果検索 研究情報データベース お問い合わせ 採用情報 ビジネスの方へ はじめての方へ 研究成果検索 事例紹介 協業・提携のご案内 お問い合わせ AIST Solutions 一般の方へ はじめての方へ イベント情報 スペシャルコンテンツ 採用情報 お問い合わせ 記事検索 産総研マガジンとは お問い合わせ 公式SNS @AIST_JP 産総研チャンネル 公式SNS @AIST_JP 産総研 チャンネル サイトマップ このサイトについて プライバシーポリシー 個人情報保護の推進 国立研究開発法人産業技術総合研究所 Copyright © National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST) (Japan Corporate Number 7010005005425). 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