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中学校外国語新学習指導要領を読み解く観点⑤:語彙新学習指導要領における語彙指導の考え方 東京外国語大学大学院 総合国際学研究院教授投野 由紀夫 投野 由紀夫(とうの ゆきお)先生 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。英国ランカスター大学博士課程修了。専門はコーパス言語学,英語語彙習得論,英語辞書学。NHK ラジオ講座『基礎英語 3』講師(2016 年度〜)。『プログレッシブ英和中辞典』編集主幹(小学館),『コーパス 1800/3000/4500』(東京書籍)など多数。2015年~2016年には中教審教育課程部会外国語ワーキンググループ委員を務める。日本の英語教育に CEFR を適用した CEFR-J プロジェクトを主導している。 新学習指導要領の「指導する語彙」について  中学校の新学習指導要領は,「指導する語彙」に関して,現行からどのような変更点があるのでしょうか。指導要領の「第2 各言語の目標および内容等」を見ますと,学習語彙サイズに関して次のような記述になっています。 ウ 語,連語及び慣用表現 (ア)1に示す五つの領域別の目標を達成するために必要となる,小学校で学習した語に1600~1800語程度の新語を加えた語  3学年間に指導する語は,改訂前は「1200語程度の語」でしたが,今回の改訂で「小学校で学習した語に1600~1800語程度の新語を加えた語」となりました。中央教育審議会『外国語ワーキンググループにおける審議のとりまとめ』(以下,『審議のまとめ』)においては,「指導する語彙数については,これまでの実績や諸外国における外国語教育の状況などを参考に,実際のコミュニケーションにおいて必要な語彙を中心に,小学校で600~700語程度,中学校で1600~1800語程度,高等学校で1800~2500語程度」(『審議のまとめ』,p.8)を指導することとして整理しています。私もこのワーキンググループの委員であり,根拠となる語彙数を中心となって提案してきましたので,ここで参考にしたとされる「これまでの実績」および「諸外国における外国語教育の状況」とはどのようなものかを解説しましょう。 語彙サイズの根拠(1):現行の教科書分析  指導する語数の根拠となる「これまでの実績」ですが,これは現行の指導要領下で作成されている中学校英語教科書の語彙分析データを根拠としています。平成28年度より中学校は週4時間が正式になり,それに伴って語彙数も900語から1200語へ増加しました。筆者の教科書コーパス分析(投野 2016)にもあるように,平成28年度版の中学校教科書6種では,小学校外国語活動の実施を前提に,中3まででいずれも2000語前後の異なり語が導入されています。そのため,今回の改訂の数字は小学校の外国語が正式教科になり,改訂前の倍以上の時数をかけることを考え合わせると,決して無理な数字ではありません。これを受けて指導要領の解説でも,「平成28年度版の検定教科書においては,3年間で扱われている語数の合計が6社とも1200語程度をかなり上回っていることにも留意が必要である」と指摘されています。 語彙サイズの根拠(2):CEFR 語彙レベル  もう1つは前述の中教審の文書にある「諸外国における外国語教育の状況」という点です。ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)のような国際基準で我が国の英語教育も目標設定や評価が行われるべき,という指摘は中教審でもあり,国もCAN-DO形式での目標設定などに積極的にCEFRの概念を活用し,かつ今回の新指導要領の解説にもCEFRを参照したことが明記されました。  新指導要領による達成レベルをCEFRで見ると,高校必履修科目(高1の『英語コミュニケーション I』)でA2レベル,高校卒業時,選択科目でB1レベルと考えられています(『審議のまとめ』,p.8)。これが達成されるためには,だいたい逆算しますと,小学校でPre-A1からA1前半,中学校でA1からA2前半,高1でA2レベルをほぼ完了,その後2年間でB1の内容を教えて高校卒業時にほぼ達成,というようなシナリオで議論されてきた経緯があります。  これらに対応する CEFR レベル別語彙サイズの研究も国際的に行われており,CEFR-J Wordlistおよびケンブリッジ大学が中心となったEnglish Vocabulary Profileなどを統合した概算によりますと,A1レベルがほぼ1000語,A2レベルがそれに加えて1000~1500語程度となります。さらに投野(2008)などの調査結果が示すように,中国・韓国・台湾などすでに小学校で英語を本格的に導入している国・地域では,ほぼ例外なく6年生までで1000語以上は導入済みです。  これらを勘案すると,A1の1000語とまではいかなくとも,小学校の間に600~700語でだいたいA1の途中くらい,それに上乗せして中3までで1600~1800語とするとほぼA2相当の語彙数になります。現実的にも無理がなく目標値としては十分可能でありますし,国際基準にも合致しているということが言えます。このような背景から今回の語彙選定が決まったわけです。 発信語彙と受容語彙の明確な区別  指導する語彙数が多いのを心配なさっておられる方もいるでしょうが,改訂指導要領の解説の次の項目をよく吟味されておくとよいでしょう。 さらに,「3 指導計画の作成と内容の取扱い」(2)アにあるように,生徒の発達の段階に応じて,聞いたり読んだりすることを通して意味を理解できるように指導すべき語彙(受容語彙)と,話したり書いたりして表現できるように指導すべき語彙(発信語彙)とがあり,ここで示されている語数の全てを生徒が発信できるようにすることが求められているわけではないことにも留意する必要がある。(指導要領解説,p.32)  今回の改訂指導要領で初めて学習語彙に「発信語彙」と「受容語彙」の違いが明記されました。これは語彙習得の研究ではすでによく知られた区別です。「解説」にも書かれている通り,一般的に,学習語彙は導入時には受容語彙としてまず提示され,その一部が段階を経て発信語彙として習得されていきます。これまで述べてきた改訂指導要領の語彙数は,「主として受容語彙として教材等を提示する際の範囲を示しており,学習を繰り返し何度もこれらの語彙に触れるうちに徐々に定着が深まり,受容から発信への転換が促進されるように指導していく必要がある」(指導要領解説,pp.32-33)という点が重要です。つまり,小学校とあわせて2200~2500語程度の語彙が,全て同等の知識で習得されていなければならないのではなく,その一部が発信語彙として活用できるようになり,その他は受容語彙として理解できる程度に身に付き,残りは教材で導入されているが積極的に学習対象にならないものもある,という状態もあり得るわけです。  一般に,受容語彙のサイズは初級レベルの学習者では発信語彙の1.5~2倍程度で,だんだん英語力レベルが上がってくるにつれて,発信語彙の3~5倍くらいに増えていきます。それに照らして考えますと,小学校レベルでは約200~300語が発信的に使用できる程度でよく,残りの400語前後は受容語彙として聞いて(見て)わかればよいわけです。同様に中学校レベルでも2500語のうちおそらく1000語程度が発信語彙となっていれば,A2レベルの前半くらいのタスクは十分にこなせるはずです。そのあたりの語彙知識のメリハリをしっかりイメージして指導に当たる必要があります。 繰り返しと定着の指導  今回の改訂で,4技能5領域が「~できるようにする」というCAN-DOを意識した目標の書きぶりに変わりました。CAN-DOにはそれを実現する場面・状況とタスクがあり,そのタスクには使用する表現と語彙がセットで結び付きます。CAN-DOは一度に身に付くものではなく,教科書の単元にいろいろな場面や設定で繰り返し扱われて,そのたびに表現・語彙がリサイクルされます。このような「繰り返しと定着の指導」が極めて重要であるという指摘が,中教審答申ではされています。  このような指導のためには,教科書・教材もCANDOベースで表現・語彙がリサイクルされるように設計されている必要があります。また,教師の側も1回だけの導入で語彙や表現をその場でやって終わり,というウィンドウ・ショッピング型の授業に別れを告げましょう。これからはどのような教科書で教えるにせよ,「繰り返しと定着」をいかに効果的にするかを教員は考える必要があります。 基礎語彙のパワー  最後に私がいつも講演などで解説している,「基礎語彙の重要性」に関して再確認しましょう。中3の終わりまでに2500語が提示されたとします。2500語がどの程度役に立つか,教師として実感がありますか。  ネイティブの使う英語を大量に集めたコーパスで調べてみると,最も頻度の高い2000語で話し言葉の90%,書き言葉の80%をカバーできます(投野 2015)。さらに頻度トップ100語があれば会話の60~70%がカバーできるのです。コアの100単語は「動詞と機能語」です。機能語で文の枠組を作り,心臓部に動詞を入れ,肉付けは2000語の残りの内容語(主に名詞)を入れていろいろなことを言うのです。この「いろいろ言える」という力をどう付けてあげるか。それが中学校英語教育の最重要課題なのです。 参考文献 投野由紀夫(2008)「アジア各国と日本の英語教科書比較」教育再生懇談会会議資料(2008年5月16日) 投野由紀夫(編著)(2013)『CAN-DO リスト作成・活用 英語到達度指標 CEFR-J ガイドブック』大修館書店 投野由紀夫(2015)『発信力つける新しい英語語彙指導』三省堂 投野由紀夫(2016)「教科書語を彙の『調理法』と『品質管理』:中学校 改訂版教科書の語彙レベルと語数」『英語教育』(2016年2月号,pp. 17-19)大修館書店 ※この原稿は東書教育シリーズ『中学校外国語新学習指導要領を読み解く―6つの観点で考えるこれからの学び―』(東京書籍,2017)に掲載されたものです。 関連リンク 中学校外国語新学習指導要領を読み解く 【総論】新しい学習指導要領のねらい 【観点①:英語で授業】「やり取り」と「英語で授業」で深い学びを実現 【観点②:CAN-DO】CAN-DOリストによる目標と評価 —授業改善のために 【観点③:小中連携】目標の一貫性,指導内容の系統性,指導法の継続 【観点④:文,文構造及び文法事項】コミュニケーションにおける活用のための文法指導 【観点⑤:語彙】新学習指導要領における語彙指導の考え方 【観点⑥:デジタル】新教育課程下におけるデジタル教科書の位置付けと活用 【東書Eネット】中学校英語・中学校外国語 新学習指導要領を読み解く- 6 つの観点で考えるこれからの学び-

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